2009年10月13日

読み進むのがもったいない…浅田次郎さんの「つばさよつばさ」

つばさよつばさ.jpg
こんにちは。sallyです。
 
浅田次郎さんのエッセイ集つばさよつばさ〔文庫〕 (小学館文庫 あ 18-1)を読了しました。「地下鉄(メトロ)に乗って」や「壬生義士伝」「椿山課長の7日間」などなど、これまで小説は読んでいたけれど 、エッセイ集は初めて。
 
1年間のうちの1/3を国内外の旅路にいるという、浅田氏の“旅”にまつわるエッセイなのですが、ホロリとさせられたり、クスリと笑ったり、美しい日本語に心を打たれたり…。本当に上手いなあと思いました。
 
小説家になりなくとも投稿した小説はボツばかりで、ライターとして活躍されていたこともあるという浅田氏。「書評もインタビューも風俗ルポも裁判傍聴記も何でも書き分けられたから重宝された」とのこと。重松清さんもそうですが、ライターから小説家になり、感動作を続々発表できるというのは、文章修業ができているということもあるでしょうけれど、それまでにたくさんの取材経験をふんで、たくさんの“物”や“事”や“人”に出会ってきているからなのだろうなあと。私は今、小説家を目指してはいないけれど、編集者&ライターとしての経験が今につながっていると思っています。うーん、もっと私もがんばらなくてはいけませんね。
 
さて、このつばさよつばさ〔文庫〕 (小学館文庫 あ 18-1)。「台北の街角で」という章で出会った「桶店」のご主人とのやりとりには胸のこみあげるものがありました。それと、日本語の美しさにハッとさせられたのは、たとえばこんな文章。
 

北京の朝を蕭々(しょうしょう)と包む雨は美しい偶然にちがいない。
思い立って散歩に出た。この季節の雨は黄砂を拭い落として、むしろ風景を瞭か(あきらか)にする。えんじゅや柳の若葉にも雨がよく似合う。

 
5月の北京に雨が降る様子、緑が目に鮮やかな様子が、くっきりと浮かび上がってくるし、何より『北京の朝を蕭々と包む雨』とか、『むしろ風景を瞭かにする』などという日本語が素敵です。
 
そのほかにも、まずいものほど心に残るという話やピラミッドは雇用促進の公共事業だったという話など、どこから読んでもおもしろいエッセイ集です。ちょっと一息つきたいときに、開いたページのエッセイを読んでみる…なんでいうのもよさそうです。 
 
 
posted by sally at 10:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 読んだ本のこと