こんにちは。家電+ライフスタイルプロデューサーの神原サリーです。
9月に終了したメルマガで盛り上がった話題の1つに「家電のオーバースペック問題」があります。その発端は、アトリエで使っているエアコンがなぜだか快適に冷えないということから始まりました。
アトリエでここ数年愛用している機種の最新モデルを春から使っていたのですが、それまでのモデル同様にサイドファンを使った送風運転が初夏の間は心地よく、気に入っていました。ところが夏が到来したら、冷えが悪いのですね。昨年までのものはそんなことがなかったのにおかしいなあと思いつつ、24度設定まで下げてみたりしたのですが、いつのまにか冷気が弱まってしまっているように感じて「ちゃんとひやしてー」と叫んでしまうことがあったほど。
もっと困るのは猛暑の中、お客様が汗だくで来ているのに、例によっていつのまにか冷気が弱まってしまう事態が起きてしまい、さすがにおかしいと思って取扱説明書やパンフレットを熟読したところ、次のようなことがわかりました。
・「不在ECO」の設定が初期設定の『オートセーブ』のままで使っていたため、室温が高い場合、人と体温との差が小さすぎるため、人がいないと判断して、設定温度を最大で2度上げてしまう。
・たった10分ほどの不在(検知)でこの機能が発動するため、いくらか冷えてきたタイミングでも、動かないでじっとしていると不在とみなされ、設定温度が勝手に上がってしまい、冷房運転が弱まってしまう。
・サイドファンを活用した「快適おまかせ気流」は“冷えすぎない自然な涼しさ”を追い求めているため、部屋がしっかりと冷えて室温が安定してからは威力を発揮するが、そこに達するまでの間は「冷気+生暖かい室温の風」が届くため、涼しさを感じにくい。
つまり、とことん優しい冷房のため、高齢者や冷房が苦手な女性にはいいのかもしれませんが、来客が多かったり、長時間過ごすことの少ないアトリエのような場所には向いていないということなのですね。
それにしても、人感センサーが不在を検知して10分経ったらもう設定温度が2度上がってしまう機能があるなんて、しかも不在ではなく動いていないだけでそのように判断してしまう機能を出荷時の設定にしてあるなんて、「余計なお世話」としか言いようがありません。だって、みんなで顔を突き合わせて打ち合わせしているのに、それを「不在」だとしてしまうなんて。
そういえば、私が打ち合わせ中に「設定温度を24度まで下げたのに変ですね。おーい、エアコン冷えて―!」と立ち上がったと思ったら、エアコンから冷気が出始めて、お客さんに「あれ、冷たい空気がぐんぐん出てきましたよ。声が聞こえたんでしょうか」と言われたことがありましたっけ。これは、私が立ち上がったから、動きを検知して「不在から戻ってきた」と判断したのですね。
省エネや節電ということが声高に叫ばれるようになってだいぶ経ちますが、高機能なものほど自動で省エネモードになる機能が満載になっていて、「暑さを緩和して涼しいところで過ごしたい=冷やしてほしい」という基本機能がどこかへ行ってしまったような気がします。
不在ECOをオフにして、サイドファンを「切」にしたとたん、アトリエがちゃんと冷えてきたことに驚き、余計なお世話の機能たちに絶望さえ感じたこの夏の私なのでした。
センサー機能の充実(!)で、たった10分の不在、しかも動いていないことさえも不在と判断して、設定温度を2度も上げてしまうという事実。そしてそれがデフォルトで設定されていて、取説などを読んでその事実に気が付かないと「なんで冷えないのだろう?」と疑問に思ったまま、悶々として使わなければならにという不毛さ。まさに「冷えないことの絶望」です。
その後、昨年モデルではありますが、同じ機種を自分の部屋に設置した息子にこの話をしたところ、「去年、同じ経験をした。絶望という言葉がよくわかる」と。いやはやなんということでしょう。よかれと思って搭載した機能が、購入者(使用者)をこんなにも苦しめているとは。
息子曰く「メーカーの商品開発の人はこのエアコンを家で使っていないのかな」。いえ、使っているのを知っています。でも、たぶんリビング。個室では使っていないはず。そしてもしかすると、不在エコ機能はオフにしているのかもしれません。本当に不在であるなら、これは省エネになるのかもしれませんが、動かないだけでそれを不在としてしまうのだとしたら、便利な機能とは言いかねますよね。息子の部屋も私のアトリエも「不在エコ」機能は、デフォルトで設定済みなことに気が付いてからはリモコンを操作して「オフ」にしたので、もう大丈夫。かなり快適になりました。
最後に、ノクリアX(←読んでいれば機種名、お分かりになる方が多いと思います)を全否定したいのではなくて、初期設定問題に苦言を呈したいだけだということをわかってほしいなとは思います。そして、使う場所によって機種を選ぶ必要があるということ。リビングダイニングのような広い空間で24時間ずっとつけっぱなしというような使い方をするなら、ノクリアXは最適なように思います。
それとノクリアXのサイドファンがいちばん活躍するのは、春や初夏や秋などの季節に窓を開けたままで使う「送風」の時なのかもしれません。窓が1つしかなくても外気をうまく取り込んで自然(高原)の中にいるようなそよそよとした風の心地よい気流を作り出して、極上の空間にしてくれますから。