2019年10月22日

LIXIL Designが描くこれからの暮らし〜間の間(あいだのま)

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こんにちは。家電+ライフスタイルプロデューサーの神原サリーです。

先週、DAIKANYAMA T-SITE GARDEN GALLERYで開催されていたLIXIL Design主催の「間の間-aidanoma-」のレセプションに出席してきました。LIXILといえば、今年4月に開催されたミラノデザインウィークに初めて出展していたのが印象に残っていますが、こちらはLIXILの中でも水回りを手掛けるINAXによるもの。今回はDESIGART TOKYO2019の一環として、同社のデザインセンターが主体となって“製品化されるかどうかも未定の最先端のデザイン”を世に問うものだとしています。

プレゼンテーションをしてくださったのは、デザインセンター エクステリアグループのデザイナー和田明日香さん。

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間の間(aidanoma)は、「区画を区切るような空間構成が主流となっている現代の暮らしにおいても、風や光、影、音などの“空間の響き”を感じることはとても大切なのではないか。今だからできる空間の響きを模索したい」という想いから生まれたコンセプトだといいます。

光、影、気配を感じることによって、空間と空間を心地よく響かせる提案として、「ゆらぎ」「かさなり」「ふくみ」の3つが展示されていました。

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こちらが「ゆらぎ」。折り重なるいくつもの線がゆらぎを生み、向こう側の景色を気配に変え、その美しい影が空間の広がりを生み出す「塀」に代わるもの。

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私は「景色を気配に変える」という言葉がとても心に残りました。「塀」で遮ったり、区切ったりするのではなく、その向こうの気配を感じて穏やかに生きていく暮らし。江戸の時代にあったような長屋であったり、京の町家の格子などを思わせるような感じがします。

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そしてこちらが、空との心地よいつながりを作る「かさなり」。本来なら、雨や風をしのいだり、光をさえぎるような「ひさし」に代わるものとして、木漏れ日のように幾重にも重なりあった光と影が、奥行きを感じるのびやかでニュアンスのある空間を生み出すとしています。

こちらのプレゼンで和田さんがおっしゃった「ゼロをプラスにするひさし」という言葉が印象的でした。これまでのひさしは自然界の雨、風、光をシャットアウトするもの、つまりマイナスをゼロにして住みやすくしようという考えから生まれていたわけですが、この「かさなり」は光や影、そして風などを味方につけて暮らしをより豊かにしようとしているのですね。

もちろん、従来の「ひさし」が必要な場所ももちろん存在するでしょうけれど、この美しい「かさなり」の考え方を踏まえて暮らしのエクステリアをデザインしていくとしたら、とても素敵な空間が生まれるに違いありません。それは見た目だけではなく、心に作用するのではないでしょうか。

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3つ目の「ふくみ」は、空気を含むようにカーブした形状が空間に響きをもたらして、ちょうどよい距離感のある間合いを生み出すものとして展示されていました。

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これはエントランスなどに活用したり、庭と外とを距離感をもって上手に仕切って“半目隠し”のような状態をつくるのに活用できそうです。

最後に3分間程度のコンセプトムービーも見せてくださったのですが、音楽を含め、本当に素敵で見とれてしまいました。こうした展示をもっと膨らませて、インスタレーションとしてミラノサローネ(ミラノデザインウィーク)に出展してくださったら、どんなに素晴らしいでしょう。LIXILのブランドメッセージを伝えるものとして、きっと注目されるに違いないと思います。

LIXILの広報さんによれば、このデザインセンターが立ち上がったのは2015年。それまで“デザイン”というものが2の次、3の次になりがちだった同社において、もっと重視しなければいけないとして、トップ直轄の部署として生まれたのだそうです。

今回、最後に少しだけご挨拶させていただいたLIXIL HOUSING TECHNOLOGY JAPANデザインセンター センター長の羽賀豊さんは元々ソニーにいらした方だというのにもちょっとびっくり。4年の歳月を経て、今回初めて製品ありきでないコンセプトとしてのデザインのお披露目になったのだといいます。

先日、日立グローバルソリューションズが国立に今年4月にオープンした研究所内の「協創の森」に足を運んだ際にも「これからはますますデザインに力を入れていく」という話がありましたが、LIXILしかり、日立しかり、大手の企業でさえもまだまだデザインに注力しはじめたばかりだということなのですね。

LIXILのデザインセンターが主体になって、ミラノデザインウィークに出展する日を楽しみにしています。
posted by sally at 16:00| デザインと暮らしと