2013年01月14日

家電のコンパクト&プレミアム化の潮流と、復活を望むシャープの「食洗機」のこと。

※先日、別宅「神原サリーの顧客視点マーケティング」に家電関連について、2つの記事を書きました。マーケティング視点での記事ではありますが、家電関連の話題なので、2つの記事をまとめて再編集したものをこちらにも掲載したいと思います。

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こんにちは。家電コンシェルジュのSallyこと、神原サリーです。

食用油や加工食品などに小容量品が多数登場していて、人気を博しているとのニュース記事が出ていました。厚生労働省が2012年7月に発表した調査結果によると2011年の平均世帯人員は2.58人とのこと。1989年の調査時に比べて、一人暮らしの世帯は約1.5倍、夫婦のみの世帯は約1.7倍に増えているといいます。約20年でこれだけの数値が出ているのですから今後ますます、1人世帯、夫婦のみ(もしくは2人で同居)の世帯が増えることでしょう。

こうした背景を受けて、食品メーカーでは小容量品の品ぞろえを拡充し始めたことが記事になっていますが、これは食品だけのことではありません。毎日の必需品である生活家電においても、シングルもしくはディンクス向けの製品に注力し始めています。これまでターゲットを4人家族のファミリー層に絞っていた生活家電ですが、今後はさらにアラサーアラフォー世代のシングル&ディンクス層や、その親世代に向けて、少人数向けでかつプレミアムな家電が求められるのではというのが私の見解です。

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代表的なものといえば、2011年に初代機が登場した、パナソニックのプチドラム。マンションサイズの防水パン(60cm×60cm)にも置けることや、昼間留守にしているからこそ、外干しができずに必須ともいえる「乾燥機能」がついたコンパクトサイズのドラム式洗濯乾燥機が大きな評判となったのでした。

続いて、2012年3月には働く少人数世帯にこそ使ってほしいと「プチ食洗」を投入。30〜40代のシングルもしくはディンクス世帯だけでなく、その親世代となるシニア層にも注目されています。

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パナソニックだけではありません。たとえば、三菱電機の高級炊飯器「本炭釜」にも3.5合炊きの『小釜』といわれるものが登場しています。

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ここで重要なのは、単に少人数世帯をターゲットにしたコンパクトサイズの家電ではないということ。これまでにも、新生活向けの家電として安価なものはそれなりにありましたが、それとは違うのですよね。ファミリー向けで人気があり、プレミアム感もそなえたものを、小型化しているところがポイントなのです。機能もデザインも高水準でありながら、ターゲットはシングルもしくはディンクスのような少人数世帯。少しずつ広まりつつありますが、まだまだ始まったばかり。これから、いっそうこの視点での家電づくりは広まると思われます。

そして、もう1つ。こうした『個』をターゲットにしたものというのは、家族の中で暮らしていたとしても存在するのですよね。

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昨年6月に都内で開催された小泉成器の展示会では「じぶん食」ということが大きなテーマとなって提案されていました。同社はメーカーとしての立ち位置だけでなく、海外家電メーカーをはじめとするさまざまなメーカーの卸も兼業しているため、メーカーの垣根をこえた展示が可能です。

そこで提案されていた「じぶん食」の中には、もちろん一人暮らしをターゲットにしたものもありますが、たとえば社会人になったOLが家族と同居している場合、帰り時間がまちまちで食事が一緒でなかったりすることが多々あります。そうした事例の場合、暮らしぶりは一人暮らしと変わらないのですよね。同居する母親が多少は食事の用意をしてくれているかもしれないけれど、基本的には自分で用意をする。ダイエット中だから、自分専用の食事にしたいという人も案外多いかもしれません。

つまり、住まいがどうであれ、今後ますます増えてくるのが「じぶん食」。昨年、6月に発売されたパナソニックのファミリー向けの高級オーブンレンジ「三ツ星ビストロ」でも、自動メニューの人数設定が、これまでの2人・4人分から1人、2人、3人、4人分とバリエーションが増えていたのが印象的です。発表会の商品説明の際にも「4人暮らしの家庭でも、お父さんの分だけ後から調理する場合、3人+1人になりますし、塾に行くお子さんがいる場合は1人+2人+1人という流れで調理をする家庭もあります」という話がありました。

これまではまとめて作って個々に温めていたものが、よりおいしい“出来立て”を食べられるような設定に変わってきているのが興味深いと思います。私たちの暮らしの変化に合わせて、食品も家電も少しずつ変わってきているのですね。

まだまだ、こうした「生活者のニーズ」を掘り起こしていくと、ものづくりの金塊は眠っているような気がします。

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と、ここで思い起こされるのが、シャープが2005年に発売し、その後姿を消してしまった、コンパクトな食器洗い乾燥機QR-SC1のこと。シャープは「塩で洗う」という目新しいコンセプトの食洗機を前モデルから投入していて、そのキャッチコピーが「なべピカさらピカ」でした。

この「塩で洗う」というのは、専用のボックスにいつも使っている市販の塩を入れて食洗機にセットしておくもので、イオン交換システムにより、水道水を洗浄時には「汚れを落としやすい硬水」にし、すすぎの際にはすすぎに強い「軟水」にする仕組み。一度塩をセットしておけば、その都度、投入しなくてもすみ、市販の食洗機用の洗剤を使うコースも選択できるようになっています。

「塩」で洗うという発想もおもしろいですし、そこに注目が集まったかと思いますが、私が復活してほしいと思っているのは、この「なべピカさらピカ」の最後のモデルとなるものが、幅45cm×奥行29cm×高さ46cmとコンパクトで、現在人気が集まっているパナソニックのプチ食洗(幅47cm×奥行29cm×高さ46cm)とほぼ同じだということなのですよね。幅なんてプチ食洗よりも1センチ小さいくらいです。洗える食器点数が25点。2人用のコンパクトな食洗機として売り出し、赤いカラーが食洗機としては斬新でした。

でも、2005年の段階では、まだ早かったのでしょうね。というより、訴求の仕方が足りなかったのかもしれません。パナソニックの「水切りかごサイズ」というような分かりやすい表現だったら、もう少し世の中に伝わりやすかったのかなとも思います。それにパナソニックは前年「プチドラム」を投入し、その成功をふまえての「プチ食洗」の投入だったわけですし、その2〜3年前から『ナイトカラーシリーズ』を投入して、夜家事という言葉やアラサーアラフォー世代に向けた家電を『群』で展開していたことを考えると、用意周到だったなと思います。

実は、シャープさんには数年前に「塩で洗うコンパクトな食洗機があったはずだけれど、再び、あれを復活させれば売れるのではないか」と提案したことがあります。でも、テレビ全盛期、AQUOSが売れていた時代ですし、まだ「プチ家電」の潮流が見えるか見えないか・・・の時期だったので、「白物の展開は売れるものだけに絞っていく」ということだったのですよね。でも、昨年、スロージューサーや炊飯器など、再び白物へ注力し始めたのですから、ここでぜひあの食洗機をバージョンアップさせて復活させてほしいと願っています。当時、コンパクトタイプのほうは素材感が少々チープだったようなので、デザインなどにプレミアム感を高めてもらって、赤の色もヘルシオカラーに合わせたら、きっと素敵なものになるような気がします。

家電に限りませんが、時期尚早だったり、提案力が足りなかったりしたために製品のコンセプトは決して悪くない(むしろ、斬新で着目すべきところがある)のに、『売れなかったから』と早々、市場から姿を消してしまうものがあります。でも、これはとても残念なこと。新しい手法を探ることも大切かもしれませんが、案外、過去に遡って製品を見直してみるのも大切なのではと思えてなりません。シャープの食洗機復活、ぜひ!


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