2013年10月16日

【パナソニック廃家電リサイクル処理台数1000万台に】リサイクル技術を取材してきました

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こんにちは。家電コンシェルジュのSallyこと、神原サリーです。

関東地方が明け方から風雨がさらに強まり、列車等のダイヤも乱れて大変な一日でしたね。伊豆大島などでは大きな被害が出たと聞きます。まだまだ警戒が必要なようですので、皆さまお気をつけくださいね。

まだ雨が降り出したばかりの昨日、兵庫県加東市にあるパナソニックのリサイクル工場に取材に行ってきました。というのは、2001年4月に家電リサイクル法が施行されたと同時に操業されたパナソニックのエコテクノロジーセンター(PETEC・ピーイーテック)にて、2013年7月に、廃家電リサイクル処理が1000万台に到達したことを受けての記念式典が開かれたから。

加東市にはこのリサイクル工場と、アプライアンス社による炊飯器工場が隣接されていて、5月にも炊飯器工場に取材に訪れているのですが、伊丹空港から中国自動車道で45分程度と電車で行くには難しく、足の便がよくないため、東京からの取材組は記念式典の取材はせず、その後の工場見学からスタートしました。

1000万台の構成比はテレビ400万台、冷蔵庫190万台、エアコン180万台、洗濯機230万台となっているそうですが、中でも洗濯機は近年、使用されている部材が異なり、ドラム洗が増えてきたことから、この春に新ラインを導入して処理能力をアップさせたとのこと。

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洗濯機そのものの出荷台数は年間450万台とそんなに変化はないようですが、廃家電として出されるドラム洗の台数が増えてきているのですね。これは、ドラム式洗濯機の購入者がすでにどんどん買い替え期に入っているということなのだなと、新たな気づきがありました。

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クリックすると大きくなるので、興味のある方はスライドの図式を確認していただきたいのですが、これまでドラム洗が出てくると選り分けて行なっていたのに、新ラインでは、同じライン上で処理を可能にしたとのこと。とはいえ、上から見学してみると、手解体での作業が多く、大変だなあと思いました。全自動洗濯機と比べて3倍強の手間と時間がかかるといいますから、複雑な構造になっているということですね。

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重さによって、全自動ライン、ドラムラインに振り分けていく様子です。

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こちらもたくさんの人たちが手作業で解体・分別しています。

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エアコンのコンプレッサからネオジム磁石を回収している様子も見られました。1年に約1500sも回収しているそうです。

注)
ネオジム磁石とはどんなものなのか知らなかったので調べてみたところ、ネオジム磁石はレアアース(希土類)のネオジム、鉄、ホウ素の3元素を組み合わせた磁石で、それまで最強だったサマリウム・コバルト磁石の2倍近い磁力を持ち、計算上は1グラムのネオジム磁石で約1キロの鉄を持ち上げることができるというもの。1982年に佐川眞人氏が発明した“史上最強の永久磁石”として知られているとのこと。ハイテク製品の実用化や普及に貢献しただけでなく、ハイブリッド車のモーターや風力発電機にも使われているようです。

洗濯機や冷蔵庫など、解体され、破砕された後は、高精度な樹脂選別システムによって、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)という単一プラスチックに選別されます。水を使わないエア吐出システムにより、純度99.0%以上の高精度で回収できるというのですから驚きです。

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シュレッダーダストにかけられて異物除去をした後に、高精度樹脂選別システムにかけられます。

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これがその作業を行なっているところ。どうして単一のプラスチックに選別できるかというと、近赤外線識別技術を採用しているから。分子構造によって光の吸収特性が異なることに着目し、樹脂種を特定。樹脂片の飛翔軌道を予測した高精度なエア吐出しシステムで的確に打ち落としているのだそうです。ベルトコンベアのようなものの上に乗せられた樹脂片が識別装置の下を通って吹き飛ばされるのですが、秒速3メーターのスピードで流れ行く様子にこれまたびっくり。

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この夏は冷蔵庫の処理台数が多く、24時間稼働だったといいますから、とにかく精度の高さとスピードが要求されるのですね。

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こうして高い純度で選別された単一樹脂は、隣接された樹脂循環工場に運ばれ、洗浄や異物除去が行なわれて、調質・着色が行なわれ、高い品質の再生樹脂となります。

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こちらが樹脂循環工場の様子。廃家電を解体⇒破砕⇒選別するのがPETEC社で、それを再利用して再生樹脂を作るのが樹脂循環工場というわけですね。

ちなみに、パナソニックの家電製品だけをリサイクル処理しているのではなくて、ダイキンや東芝など20社におよぶ廃家電が運ばれて処理しています。

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パナソニック アプライアンス社の製造革新本部・加東樹脂循環工場の西田保夫氏。

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高精度樹脂選別システムによって振り分けられた樹脂ですが、まだまだ異物などが入っていたり、洗浄も必要とのこと。

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樹脂の洗浄は水で行なうのではなく、「加圧摩擦方式」によって、表面の汚れや異物除去、金属除去などを行なっています。これは「精米機と同じ原理ですよ」という説明を聞いて、なるほど!と思いました。

こうして再生された樹脂はどんなところに活用されているのでしょう?

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再生PS樹脂は、例えばエアコン室内機のフィルター枠に使われています。100%の再生樹脂というのは珍しいのだそうで、年間170トンも再利用されているとのこと。

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今後、さらに再生樹脂の使用量を高めていきたいとのお話しがありました。

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興味深かったのは、リサイクル処理をしている現場の声を生かして「リサイクルしやすい製品」を作っていくような取り組みが行なわれているということ。

たとえば、従来液晶テレビにはビスが400本も使われていたのに、今では1/4に。エアコン等に社名やロゴをシールで貼り付けていたものも、今ではリサイクルしやすいようにレーザー印字にしているそうです。

また、この工場には、各家電メーカーの設計技師が訪れて、一緒に分解していくことでリサイクルしやすい製品づくりへの理解を深めているという話もとても地味な作業だけれど、大切なことなのだと知らされました。

このようなリサイクル処理にかかるコストは、私たちが払っているリサイクル料金の一部と、リサイクル資源の売却によってまかなわれています。リサイクル料金のない、小物家電などの製品も積極的に回収して再利用していきたいとのことでした。

こうした内容が分かると、リサイクル料金の支払いにも納得がいきますね。そして、再利用だけでなく、「長く使うことの大切さ」にも気づかされるように思いました。今回の取材は日ごろあまり日の当らない内容ですが、遠路訪れて取材させていただく機会を得られたことに感謝しています。







posted by sally at 18:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 省エネとエコロジー
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