
こんにちは。家電コンシェルジュのSallyこと、神原サリーです。
8月末からの海外取材を無事に終え、帰国してから早1週間。取材してきたさまざまなことをお伝えしたいと思いつつも、時差ぼけに悩まされる中、次々に国内でも発表会や取材のスケジュールが目白押しで、なかなか時間がとれませんでした。というより、ハードスケジュールだった取材の疲れがどっと出た・・・というのもあるんですけれどね。
今回の海外取材は、ドイツ・ベルリンで開催されたIFAの取材のほか、エレクトロラックス社のハンガリー工場にて開催された掃除機誕生100周年イベントや工場のラインの視察なども大きな目的でした。IFAの様子は、いろいろなメディアで速報として伝えられていると思うので、私は、自分なりの考察も踏まえてゆっくりとお伝えしていこうと思います。
で、まずはエレクトロラックス社のハンガリー工場でのイベントの様子から。エレクトロラックスはスウェーデンの本社を置く世界でも有数の家電メーカーでその歴史は100年以上前からになりますが、広く知られるようになったのは1912年に初めて家庭用の軽量の掃除機を開発し、販売を始めてから。それ以前にもアメリカでは大きな掃除機が発明されていましたが、持ち運び可能な軽量のものがきっと作れるはずだと、開発をしたのですね。

それが、この写真の左側にある「LUX1」。右側の掃除機は、100年目に誕生した「UltraOneMini」。実はこのウルトラワンミニは、日本で今年2月に発売された「エルゴスリー」のグローバルモデル。日本市場向けに開発されたものが、世界に向けて羽ばたくという流れは、ダイソンなどにも通じるものがありますね。

で、この初代掃除機「Lux1」ですが、スウェーデンの本社で実物を見てきました。なので、この掃除機のことについては、後日またあらためてご紹介しましょう。
さて、話をハンガリー工場に戻しますが、初代掃除機のLux1が誕生して100周年になることをお祝いしてのイベントが9月4日にこの工場で行われ、スウェーデンからCEOのヘンリック氏も駆けつけて、盛大に開催されたのでした。

お祝いのスピーチの後、モデルさんが勢ぞろいして100年を振り返りながらのショーが行われたと思ったら、ステージには「100」という数字をかたどったロウソクが立てられたケーキが登場し、CEOをはじめとする首脳陣たちが顔を寄せ合って吹き消す場面も。

はい。これがロウソクの火が吹き消されたところです。スーツを着た人たちがニコニコしながら顔を寄せ合って息を吹きかける様子はなんだかとても微笑ましく、このイベントのクライマックスでした。

ここで最後にお披露目されたのが、IFAでも展示されていた先の「UltraOneMini(ウルトタワンミニ)」と、スティックタイプのエルゴラピードの後継機種ともいえる「UltraPower(ウルトラパワー)」。
会場が暗かったので上の写真では見えないと思いますのでIFAでの写真でご紹介しますね。

こちらが先ほどLux1とも並んでいたUltraOneMini。エルゴスリーと型は一緒ですがカラーはごらんのとおりのブルー。音が静かなこと、コンパクトで軽量なこと、ごみをしっかりと吸引する力の高さ・・・この3つのコンセプトはエルゴスリー同様です。海外でも都市部ではそんなに広い家(部屋)に住んでいる人ばかりでないため、こうしたコンパクトタイプというのは魅力的なのですね。


そしてこちらがUltraPower(ウルトラパワー)。パワフルなリチウムイオン電池を搭載し、吸引力の高さとバッテリーの持ちのよさが特徴。左はエレクトロラックス社の別ブランドAEGのもの。エルゴラピードプラスも人気ですが、それでもまだパワー的に物足りないと感じている人もいることと思います。その点を克服し、さらに右の写真のように自立するなど、魅力たっぷり。
ただし、日本では2013年下期に発売するとかしないとか。まだ決まっていないそうです。

ウルトラワンミニ、ウルトラパワーのいずれも、100周年となる2012年〜2013年にかけて力を入れている2大クリーナーのよう。いずれもこのハンガリー工場で作られます。
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ところでこのハンガリー工場というのは、元々東ヨーロッパ向けの武器を製造していたLEHEL(レヘル)という会社の工場だったとのこと。1991年に買収し、金属の技術を生かして当初は東ヨーロッパ向けの冷蔵庫を主に作ってきたといいます。
100周年イベントのスピーチでも話していましたが、このハンガリー工場への開発費の投資額を50%アップさせるなど、エレクトロラックス社としてはかなり力を入れている様子。今、世界では生産ラインを中国をはじめとするアジアで行っているところが多いですが、エレクトロラックス社がハンガリー工場にこだわるのは、その品質と生産性の高さから。特に技術力を要する新製品については、ハンガリー工場に絶大な信頼を置いているといいます。
というのも、中国では賃金向上を求めて、同じ工場に長く勤めるということをしないため、技術力などが定着しないのですね。仕事を覚えたと思ったら、春節を機にやめてしまう(というか、春節で故郷に戻ると帰ってこない)。ハンガリーではそんなことがなく、社員が長く働くために、難しい新製品のラインでもきちんと仕事をこなせるというわけですね。
ちなみにこのハンガリー工場にはLEHEL社の時代からあった“社員向けの動物園”が併設されていて、今でもちゃんとあります。福利厚生の一環なのですね。もしも時間があったら、ぜひ立ち寄ってみたかったなあと思います(車で前は通ったのですけれどね)。
↓ ハンガリー工場から車で5分ほどでこんなのどかな風景になります。
