2015年09月14日

自分の体を見つめ直してケアする「リズム美人の365日セルフケアダイアリー」

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こんにちは。家電コンシェルジュのSallyこと、神原サリーです。

体組成計や血圧計、電動歯ブラシなどを扱うオムロンですが、婦人体温計による計測や温活、質の良い眠りのことなど、特に女性たちの美と健康に力を入れているのをご存知ですか? 

“美しさとは、自分のカラダをよく知ることから始まる”という考えのもと、女性がそれぞれのペースで健やかに過ごせるようにと、立ち上がったオムロンヘルスケアの女性チーム「オムロン式美人」が企画した、リズム美人の365日 セルフケアダイアリーをが発売されたのを知り、さっそく購入してみました。

監修は女性の心と体についての第一人者、対馬ルリ子先生と、ホリスティック美容科の岸紅子さん。最近は体が冷えている女性が多いこと、そしてその弊害に着目して「温活」のためのアドバイスがたくさん書かれています。また婦人体温計についても、避妊や妊娠のためのものではなく、女性のリズムから自分自身の健康を見直すためのツールとして、紹介されています。

また後半は、四季折々の季節に応じたセルフケアのやり方がイラスト入りでわかりやすく示されていて、「さっそくやってみよう!」という気持ちにさせられるページに。たとえば今の季節「白露(はくろ):新暦9月8日〜9月22日ごろ」には、朝夕の冷えに気をつけながら自分らしく秋を楽しむためのヒントが3つ。体を温める葛をとりましょう、肩のマッサージはこんなふうに、身近なもので作る漢方茶で血行改善をしましょう・・・などなど。

「昼はよく働き、夜はゆっくりする自律神経のメリハリが大切です」という文章に、ドキリとしました。本当に、メリハリ大事ですね。なかなか難しいですけれど、心がけるかそうでないかで、違ってくるのではと思います。女性の皆さまにおすすめの1冊です。

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2012年05月01日

洗濯王子の中村祐一さんから新刊が届きました!

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幸せを呼ぶスマート洗濯

こんにちは。家電コンシェルジュのSallyこと、神原サリーです。

洗濯王子として知られている、洗濯アドバイザーの中村祐一さんから、新著「幸せを呼ぶスマート洗濯」を贈っていただきました。長野県伊那市のクリーニング店の3代目でもある中村さんは、洗濯やアイロンがけなど洗濯まわりについての知識や思い入れはさすがで、すでに何冊もの著作をもっています。

本の帯にもあるように爽やかなルックスと、丁寧でわかりやすい説明にはファンもいっぱい。私と中村さんとの出会いは初めはtwitterだったようにも思うし、ティファールの発表会で登壇されているところにお声をかけたら「サリーさん!」と私のことをご存じでいらっしゃって、仲良くなったようにも思うし、あんまり定かではないのですが、その後も、電話でお話したりと懇意にさせていただいていて、ありがたいことです。

今回の新刊でも、話しかけるようにわかりやすく洗濯についての心がけや豆知識を披露されていて、読みやすくためになる内容ばかり。

最後のまとめで「洗濯はまさに平和の象徴」というメッセージがあり、確かにそうだなあと納得しました。一見、面倒そうに思える洗濯も、洗濯できることはありがたいことなのだ・・・と思うと、「もっと楽しもう!」「もっと上手に洗おう!」という気持ちになりますね。

このあたり、家電全般についても同じかなと思っています。家電製品が使える暮らしを当たり前と思わずに、便利でありがたいなと思うと、「選び方はどうすればいいの?」「私にぴったりなのはどれ?」「もっと上手に使いこなしたい!」・・・そんな気持ちになりますものね。そんなときには、家電コンシェルジュのわたくしが、喜んでお手伝いさせていただきますので、お声掛けください!

最後に・・・洗濯王子の中村さんと度々、話題になっているのが、「洗濯王子×家電コンシェルジュ」のコラボ企画をやりましょう!ということ。洗濯機やアイロン、洗剤などについての私の取材経験や知識と、それを使いこなす洗濯王子とのコラボで、もっともっと幅広い「洗濯」企画ができたらいいなと思っているのです。なので、雑誌やWEB、テレビなどのメディアの皆さま、ぜひどうぞよろしくお願いいたします!

洗濯王子のサイン&メッセージ入りで届きました。中村さんどうもありがとう!

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2012年01月30日

【おすすめの本】帚木蓬生「風花病棟」〜10人の良医のストーリー

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風花病棟 (新潮文庫)

こんにちは。家電コンシェルジュのSallyこと神原サリーです。

今日は先日読了した本のことを少し。帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)氏の本と出合ったのは15年ほども前に「閉鎖病棟」が最初でした。その後、何冊か読んでいますが、どれもみな長編。ところが、この「風花病棟」は珍しく短編集になっています。

あとがきによれば、年に1作発表してきた10年分の作品をまとめたのがこの1冊。どれも医師が主人公で、患者や家族との間で時には苦悩しつつも、まっすぐに歩んでいく姿が描かれています。

主人公が医師なのですから、患者とのやりとりの中で必ずあぶり出されるのは、その患者が抱える「病」。どんなに名医であっても力及ばず死にいたる場面も出てきます。心に深く染みいる場面が多いのですが、でも後味は悪くなく、清々しささえも感じるのはたぶん医師たちが逃げていないからなのでしょう。

10の短編の中でも特に心に残ったのは、アルコール病棟に20年以上も入院し続けた患者とのやりとりをつづった『かがやく』。精神科医として研修していた際に、指導医から教えられたという「患者との面談の中で話題に困ったら、その人がいちばん輝いていたときの話を聞く」ことを、忠実に守ってきた医師と、最後は癌でなくなったアルコール病棟の患者さんとのエピソードが胸を打ちます。

そのほか、生前、あまり交流のなかった父親のことを、思わぬ出来事から見つめ直す機会を得て、「もっと生きているうちに会話をすればよかった」と愕然とする話が「百日紅」と「震える月」の2話。全く異なるエピソードながら、同じ医師という道を志した息子と父親という立場の難しさが痛いほど伝わってきます。もしかすると、作者自身にも医師同士ではなくとも父親との確執のようなものがあったのかもしれません。

帚木氏ご自身も精神科医として働きながら、作家としても活躍されている方なので、どの話にも説得力があり、しかも流麗な文章で心に染みわたるように入ってくるのできっと読みやすいことでしょう。長編が苦手な方にもおすすめです。




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2012年01月08日

【おすすめエッセイ】芥川賞候補・石田千さんの第一作品集「月と菓子パン」


こんにちは。家電コンシェルジュのSallyこと、神原サリーです。

さきほどの記事にも書いたように、年末年始は年賀状の準備も失礼させていただき、おせち料理さえ作らず(ずっとずっと作ってきたのに)、起きられずにただひたすらにベッドにもぐってうとうとし、目が覚めて気分が少しよければ本を手に取る・・・という日々でした。

そんな中で、何度読み返しても「うまいなあ」とうなってしまったのが、石田千さんの第一エッセイ集「月と菓子パン」です。國學院大學を卒業後、嵐山光三郎さんの事務所で16年も働いていたという経歴を見ると、やはり名エッセイストでその後小説家としても活躍されている群ようこさんが「本の雑誌社」で事務職をされていたという話を重ね合わせてしまいます。

この「月と菓子パン」の中でも、特に好きなのが「まるいおもち」。主題は石田千さんの親戚のおばあさん3人が年末になると集まって、電動の餅つき機でおもちをつき、手を真っ赤にしながら丸めていく・・・という情景を語ったものなのですが、冒頭は全く違う話から始まります。石田さんが3歳のころからよく家出をしていた(深刻なものではありません)というエピソードです。

小さかったころを振り返りながら2ページほど、この家出話が続いて、空行もなしに唐突に「数年まえまで、実家では正月が近づくともちつきをした。もちをつくのは三人のおばあさんの仕事だった。」と始まるのです。

家出というキーワードから、実家の様子を何となく伝え、そこからおばあさんたちの話につなげている・・・と考えれば筋道も立ってきますが、どこまで計算されたものであるのか。淡々と書き進んでいるようで、実は思わぬ画面展開があり、でもそれが不自然でないのはすごいなあ、と惚れぼれしてしまいます。文章なのに映画のカット割りのようなものが、とてもスムーズに絶妙なタイミングで進んでいくというような。

“ほっこりとした食にまつわるエッセイ集”と言ってしまえば簡単ですが、いいえ決してそんな軽いものではないんですよね。題材は素朴なのにしみじみと味わい深い。

・・・なんて、あらためて感激していたら、石田千さんの「きなりの雲」という小説が、第146回芥川賞候補になったという発表があり、しかも芥川賞候補2度目と聞いて、やっぱりなあ、さすがだなあと思ったのでした。


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2011年10月01日

【おすすめの本】角田光代「彼女のこんだて帖」〜中華ちまきを作る!

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彼女のこんだて帖 (講談社文庫)

こんにちは。家電コンシェルジュのSallyこと神原サリーです。

9月中は家電メーカーさんの新製品発表会のラッシュで、1日に2〜3つハシゴという日もたくさんあり、全身全霊でその特徴つかみ、「ここいいかも!」「どうしてこうしたんだろう?」というようなことを残って質問しているとインプットすることが多すぎて、ものすごく体力を消耗します。わくわくすることもたくさんあるし、誰よりも先に新製品情報を把握できるのはありがたいことなのですが、それにしても忙しい日々でした。

家電業界以外でもおつきあいのあるところがけっこうあるので、その展示会や内覧会のようなものにも顔を出していると、体が1つじゃ足りませんという感じ。その合間に新聞や雑誌などの取材を受けたり、テレビやラジオやイベントに出演させていただいたり、本業である「原稿書き」に専念したり、さらにはアドバイザーとしての仕事のあれこれも。

でもね、そうした日々の中で刺激を受けて、いろいろなアイデアも浮かぶし、取材や相談を受けた時にさまざまな角度からお話ができるので、じっとしていてはダメなんですよね。10月に入っても、まだまだ記者発表会が続きますし、WEBや雑誌への新連載のお話もいただいているので、近々新たなご報告ができそうです。そうそう、10月12日からは「香港エレクトロニクス・フェア」へも取材に出かける予定です。主催者の方からご招待いただいたので、楽しみながら取材して、皆さまにその様子をご紹介できればと思います。


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さて、そんな目の回るような日々を癒してくれるのが1冊の本。9月中にもいろいろ読みましたが、イチオシは角田光代さんの彼女のこんだて帖 (講談社文庫)。全部で15の掌編と、巻末には物語に登場したお料理のレシピ(写真も!)が載っているという構成になっています。

ベターホームが監修していることもあって、お料理そのものにも魅力がありますが、角田さんの本ですからね、15編の文章が本当にいいんですよね。1編あたりの文章は、文庫本でわずか8ページ。なのに、一気に入りこませて、笑わせる、泣かせる、うなずかせる。角田さん、うますぎます。

15編の主人公は少しずつつながっていて、15回目でぐるりと一周します。年齢も性別も異なるそれぞれの主人公に毎回、感情移入しながら読む楽しさといったら。どのエピソードも心に残りますが、「4回目のごはん:かぼちゃのなかの金色の時間」や「8回目のごはん:どんとこいうどん」、そして「11回目のごはん:豚柳川できみに会う」には泣かされました。特に「11回目の〜」は、亡くなった奥さんが作ってくれた懐かしい味(料理の名前もわからない)を、どうしても再現してみたくなって料理教室に通い、ついにその料理・豚肉で作った柳川なべを作るに至る話には、ずっと泣きっぱなしでした。

料理って、お腹をいっぱいにさせるためのエネルギー源というだけじゃなくて、誰かの心を幸せにする魔法なのだなと。

第2話には、「中華ちまき」が出てくるのですが、これを読んでいたら久しぶりに作ってみたくなり、材料を買いそろえてレシピ通りにやってみたりなんてことも。

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もち米を一晩水につけて、具材とともにいため、水分がなくなるまで煮たら、アルミホイルに包んで蒸し上げれば30分出来上がりです。

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写真ではチャーハンみたいに見えてしまいますが、干しエビや豚肉、干しシイタケ、野菜、調味料の旨みをたっぷりとしみこんだもち米が美味でした!

料理を作らない人も、小説を読むだけでもおすすめの1冊ですので、ぜひ。









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2011年08月09日

【おすすめの本】高田郁「八朔の雪〜みをつくし料理帖」

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八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)


こんにちは。家電コンシェルジュのSallyです。

今日は本当に久しぶりに、おすすめの本の紹介です。「読んだ本のこと」というカテゴリを作っておきながら、なかなか家電のことで精一杯で、読みっぱなしになっていたので、これからなるべくご紹介できたらなあと思っています。

「八朔の雪」は、先月の誕生日プレゼントにと、とても仲良しの友人にいただいたもの。彼女からはこれまでいろいろな本をプレゼントしてもらっているのですが、今回の高田郁さんの著作は本当に心温まる素敵な小説でした。プレゼントしてくれた友人は、実家のお母さまから「これいいわよ。ぜひ読んでみて」と紹介されたのだとか。その彼女は「読み進んでいくのがもったいないくらいの本。先を知りたかったりするのに、お話が終わってしまうのが残念でゆっくりゆっくり読みたくなる」と私に話してくれました。

時代小説になじみのない人もいるかもしれませんし、宮部みゆきファンの人が現代ものだけでなく、彼女の時代小説も読んでいる・・・という人もいるかもしれませんね。慣れないと、入り込めない場合も多い時代小説ですが、この「八朔の雪」は主人公の澪(みお)を応援しながら、いつにまにか江戸の時代に入り込めてしまいます。

主人公がどうして上方から江戸へ出てくることになったのか。どうして天涯孤独の身になってしまったのか。そして江戸の蕎麦屋「つる家」での料理人としての日々はどうなっていくのか。

連作短編集なので、気負わずに読むことができますし、幼馴染の野江の人生など、驚く仕掛けも隠されていて本当に何度でも読みたくなるお話です。まして、料理好きならぴたりとはまること間違いなし!巻末には本編に出てきた料理のレシピも「澪の料理帖」として付録になっているので、思わず作ってみたくなります。


八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)」は、みをつくし料理帖シリーズの第1作で、ハルキ文庫からはすでに第4作まで出ているので、この後の展開も楽しみ。ビジネス書や自己啓発書もいいですが、やっぱり読書の楽しみは小説だなあと思う私。お盆休みに何か本を・・・と考えていらっしゃる方にもおすすめです。


タグ:高田郁
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2009年12月24日

「十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨ててくださって宜しい。」遠藤周作

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こんにちは。sallyです。
 
遠藤周作さんの著作、「十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。 (新潮文庫) 」を読了しました。何とも長く、たいそうな題名のこの本は、没後10年目に発見されて、刊行され、今年9月に文庫化されました。
 
タイトルだけでは、いったい何の本なのか、小説?随筆?評論?・・・と疑問に思われるかもしれませんが、これは「心に届く手紙を書く秘訣」が書かれた、遠藤周作さんからの温かなメッセージです。
 
この本の執筆は昭和35年。著者が肺結核を患って、病院に入院しているときに書かれたものなのだそうです。50年も昔に書かれた本なんて、古臭くて読みづらいのではという予想を覆し、何とも読みやすくて、ほっとさせられる内容です。たぶんメールにもつながるでしょうし、昨今、ますます遠ざかりがちになってしまった「手紙を書くということ」「手書きで思いを伝えること」の大切さが身にしみます。でもね、決してお説教っぽくないんですよ。
 
手紙というだけでなく、文章を上達させる秘訣ともいえる「ようなゲーム」など、さっそく試してみたくなりました(いえね、実際にやってみると難しくて、文章を書く身だいうのにどうしましょうと反省)。
 
解説も含めて、200ページ弱の文庫本です。年末年始の休暇中や、電車の中のお供におすすめです。
 
 
 
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2009年10月13日

読み進むのがもったいない…浅田次郎さんの「つばさよつばさ」

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こんにちは。sallyです。
 
浅田次郎さんのエッセイ集つばさよつばさ〔文庫〕 (小学館文庫 あ 18-1)を読了しました。「地下鉄(メトロ)に乗って」や「壬生義士伝」「椿山課長の7日間」などなど、これまで小説は読んでいたけれど 、エッセイ集は初めて。
 
1年間のうちの1/3を国内外の旅路にいるという、浅田氏の“旅”にまつわるエッセイなのですが、ホロリとさせられたり、クスリと笑ったり、美しい日本語に心を打たれたり…。本当に上手いなあと思いました。
 
小説家になりなくとも投稿した小説はボツばかりで、ライターとして活躍されていたこともあるという浅田氏。「書評もインタビューも風俗ルポも裁判傍聴記も何でも書き分けられたから重宝された」とのこと。重松清さんもそうですが、ライターから小説家になり、感動作を続々発表できるというのは、文章修業ができているということもあるでしょうけれど、それまでにたくさんの取材経験をふんで、たくさんの“物”や“事”や“人”に出会ってきているからなのだろうなあと。私は今、小説家を目指してはいないけれど、編集者&ライターとしての経験が今につながっていると思っています。うーん、もっと私もがんばらなくてはいけませんね。
 
さて、このつばさよつばさ〔文庫〕 (小学館文庫 あ 18-1)。「台北の街角で」という章で出会った「桶店」のご主人とのやりとりには胸のこみあげるものがありました。それと、日本語の美しさにハッとさせられたのは、たとえばこんな文章。
 

北京の朝を蕭々(しょうしょう)と包む雨は美しい偶然にちがいない。
思い立って散歩に出た。この季節の雨は黄砂を拭い落として、むしろ風景を瞭か(あきらか)にする。えんじゅや柳の若葉にも雨がよく似合う。

 
5月の北京に雨が降る様子、緑が目に鮮やかな様子が、くっきりと浮かび上がってくるし、何より『北京の朝を蕭々と包む雨』とか、『むしろ風景を瞭かにする』などという日本語が素敵です。
 
そのほかにも、まずいものほど心に残るという話やピラミッドは雇用促進の公共事業だったという話など、どこから読んでもおもしろいエッセイ集です。ちょっと一息つきたいときに、開いたページのエッセイを読んでみる…なんでいうのもよさそうです。 
 
 
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2009年10月07日

齋藤茂太さんの本「『あなたに会うと元気になる』といわれる人の共通点」

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こんにちは。sallyです。


久しぶりに本のレビューです。電車の待ち時間に駅構内の書店でふと手に取ったのが、齋藤茂太さんの著作「あなたと会うと元気になる」といわれる人の共通点 (ぶんか社文庫 さ 1-6)
 
精神科医であり、医学博士だったモタさんの著作は、これまでにも何冊か読んでいて、そのたびに生きる力のようなものをもらっていますが、この本の特徴は、「元気な人」になるのではなくて、「人を元気にさせる人」というところです。私は、結構悩んだりもするほうですが、人前ではたぶん「元気な人」の部類に入ると思うし、この間なんて、「sallyさんは、見かけはふわりとしているけれど、肉食系か草食系かって言ったら、絶対肉食系っていう人だよね。エネルギッシュだし、前に進んで行く人だし」と言われたくらい。
 
だけど、必死に前に進もうとしていると、何か忘れていやしないかと思うときもあるわけで。自分が元気になるだけではなくて、「あなたと会うと元気になる」と言われる人を目指したいものだと思って、読んでみたのですが…。
 
「そう、そのとおり!」「すぐに心がけてみよう」と思う言葉の数々になんと励まされたことか。電車の中で読んでいて思わずにこにこしてしまった私でした。
 
たとえば、こんな具合。「心に誰かがよぎったとき、とりあえず連絡してみよう」の項の最後の2行。
 

ふと気になるとき、忙しいからと素通りしない人であってほしい。ひと言「元気にやってる?」と声をかけてほしい。「あなたをふと思い出したから」と。
 
で、さっそく実行しってみています。会いたいなあと思ったときに連絡しないと「いつか」がずっと先になってしまうから(私から急に連絡が入ったら、「この本のせいね」と思ってください)。
 
 
そのほかにも「忙しい人ほど、心にゆとりが生まれるわけ」とか「『いいなあ』と思ったところに居場所がある」とか。本に書き込みをしないようにしているのに、今回ばかりは心に残ったところを赤で囲んで、何度も読み返しています。
 
そうそう。この本「ぶんか社文庫」から出ているんですが、字が大きめで読みやすいのもうれしいです。
 
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2009年08月23日

NHK「トップランナー」の言葉

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NHK「トップランナー」の言葉―仕事が面白くなる! (知的生きかた文庫―BUSINESS (え13-1))
 
こんにちは。sallyです。
 
昨日、LEDブックライトのことをお話したので、久しぶりに読んだ本のことをご紹介しましょう。昨年の秋に購入して以来、繰り返し手にとっているのが、NHK『トップランナー』制作班によるNHK「トップランナー」の言葉という本。
 
1997年の番組開始以来、400組以上のゲストを迎えているそうですが、その中から28人のメッセージを選んで載せています。
 
作家、フォトグラファー、イラストレーター、構成作家など多彩な活動をしているアーティストのリリー・フランキー氏は、
 「どんな仕事でも『得意です!』と答えて、受けてから勉強するようにしていました。〜中略〜その道のプロの人たちはボクのことをプロだと思っていないし、ボクもそうなりたいとは思っていない。でも、ボクみたいに“ニセ者”じゃないとできないこともあると思うんですよ。それはプロの人たちがつくったシステムを変えていくこと。だから、自分がやったことで、そういうシステムを変えられればいいかなとか思いますけどね」
 と言っていますが、私自身もフリーランス・ライター時代には、決して得意分野とは言えない取材の仕事でも「やってみせますとも!」という気概を見せて、それを引き受け、それがきっかけで得意分野となったことが多々あります。それに、プロの人たちがつくったシステムを変えていく…という部分もとても共感できるんですよね。現在の仕事も、家電を中心とはしているものの、“顧客視点”という見方で物事を見ていくと、どんな分野であっても「このよさをこういうふうに伝えたらいいのに」と思うことや、「それではそれを必要としている人に伝わらない、それではもったいない」と思うことが多々あって、いつのまにか家電以外の仕事が、あれやこれやと舞い込んで、だけど、それもすべて世の中の人たちのお役にたてることのはず…と思ってがんばっています。
 
直木賞作家の石田衣良氏の
「自分で限界を決めてしまわないことです。限界を超えたところで頑張っていると、それが普通になってさらに遠い限界に行ける。無理をすることです。自分なんてそんなにたいしたものではないのだから、大事にしなくていいんです。輝くためには自分の火を燃やさなければならない。そのためには、自分の中にあるものを削らなければなりません。それを恐れてはならない」
という言葉も深く心に残っています。というより、何度も読み返しては、まだまだ甘いぞ!と自分自身を鼓舞しているわけなんですが。シンガーソングライターのスガシカオ氏の
 「休もうかと思うときもありますが、人間は、生き急げるときは生き急いだほうが絶対いいと思うんです」
という言葉も好きです。ただし、この後「だって、そのうち歳をとり、生き急げなくなる時が必ずやってくるのですから」と続くんですけどね。すでに私自身は生き急げなくなっている感もありますが、それでも石田氏のいうように自分を削りながら自分の火を燃やす…という生き方、仕事の仕方には共感できます。
 
以上の3人は、たまたま私が特に心に残ったメッセージ(わりと過激かも)ですが、さまざまな職業の人たちからのメッセージの中には、きっと心に響くものがあるのではと思います。
 
 
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2009年07月15日

三浦しをん「風が強く吹いている」

run.jpg 風が強く吹いている (新潮文庫 み 34-8)
 
こんにちは。sallyです。
 
昨日の夜、家人と黒ラブ・大和の散歩についていき、公園で思いっきり走ってきました。家に向かう帰り道でもけっこう急な坂を見上げて「箱根駅伝の5区、山越えのつもりで走りたい!」とばかり、駆け上がってしまったりして。
 
感化されやすいんです、私。たった10人、しかも長距離未経験者のいる10人の大学生が、箱根駅伝を目指し、疾走する物語、三浦しをん著「風が強く吹いている」を読了したばかりで、とにかく走りたくなってしまいました。
 
読み始める前は、この年齢で“青春小説”に感情移入できるのだろうかと思ったのに、ぼろアパートの「竹青荘」に住む10人の個性豊かな若者たちの様子に一気に引き込まれ、「そんな夢物語みたいなこと言って」という気持ちがどんどん薄れて「がんばれ!行け!」と応援してしまっている私がいました。
 
小説なのに、自分も一緒に走っているような気持ちになり、耳元で風を切る音がする…しかも、単に大手町のゴールを目指しているだけではなくて、一人ひとりの心模様や、絆のようなものがしっかりと描かれていて、掛け値なしでさわやか、しかも読み応えあり!
 
私は彼らの倍以上も生きていて、体力の衰えをひしひしと感じている(しかも、体力が落ちてくると気力だって萎えてきます)のだけれど、読んでいるうちにどんどん力が湧いてきて、もっとがんばればいろいろなことが成し遂げられるのだという気持ちに満ち溢れてさせてくれたこの1冊に感謝です。
 
元々、私には「ランナー」への願望があって、ちっとも走ったりしていないくせに「いつかフルマラソン」なんてことを思ったりしているので、余計に心を打たれたのかもしれませんが、走りに興味のない人でも、きっと元気と勇気をもらえる本だと思います。
 
箱根駅伝は、ここ数年、新年2日・3日の午前中の大きな楽しみの1つだったけれど、来年のお正月はさらに各大学の選手への応援に力が入ってしまいそうです。
 
そうそう、文庫の解説をノンフィクションライターの最相葉月さんが書いていますが、この解説がまたいいです。「風が強く吹いている」はフィクションだけれど、多くの方へ取材を続け、6年の歳月をかけて仕上げたそうなので、そういう意味ではノンフィクションに近いところがあるのでしょうね。
 
そういえば、昨日、たった9人の野球部員が、26年ぶりに夏の大会の初戦を突破したという、大阪の市岡商のニュースを読みました。10人で箱根駅伝に挑戦した「竹青荘」のメンバーのことを重ね合わせ、なんだか胸が熱くなりました。
 
 
 
 
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2009年06月08日

「思考の整理学」―昨年、東大・京大生に一番読まれた本

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こんにちは。sallyです。
生活家電の話題を中心にお届けしている「Sallyの家電研究室」ではあるのですが、本好きの私、どうしても読んだ本についてもぜひ、多くの人にお伝えしたいと思い、新たに「読んだ本のこと」というカテゴリーを加えました。家電に興味があるけれど、本を読むのも好き…という方や、本が好きなのでここを訪れてみたら、家電のことも書いてあったのでついでに読んで見たら参考になった…という方のお役に立てればと思います。
 
 
 第1弾は、読了したばかりの思考の整理学 (ちくま文庫) (外山滋比古著)。1986年に文庫になってから、すでに51回も版を重ねている超ロングセラーです。
 
書店で「2008年に東大・京大で一番読まれた本。もっと若い時に読んでいれば…」というPOPがついていたのに惹かれて手に取ったのですが、難しい題名とは裏腹に、とにかく読みやすく、「なるほど!」と腑に落ちることばかりが書いてあって、出会えたことに感謝したくなる本でした。
 
「学校とは飛行機でなく、グライダーを育てるところ。飛行機とグライダーは似ているが、悲しいことに自力では飛ぶことができない」…先生からみた優等生とは優秀なグライダー。受動的で自分で考える能力に欠けているという話には、もっともだと思いました。
 
そのほか、最近、着目されている「朝時間」についても書かれているのですが、外山先生いわく「朝ごはんを食べるまでの時間はすべて“朝飯前”といえる。早起きができなくとも、朝ごはんを食べずにすっきりした頭のままに思考を働かせ、仕事を片付けるなどすれば、どんどん捗る。それで、朝・昼兼用の食事をとればいいのだ」と。つまり、ブランチのことですね。
 
これは、朝の苦手な私には愁眉を開かせる、グッドアイデアだと思いました。朝ごはんをしっかり食べてこそ、1日がんばれる、脳の働きもよくなる…という考え方もあるかと思いますが、まあ、人それぞれなので。
 
外山先生の持論はさらにおもしろくて、「可能ならば、そこで(ブランチ後)ひと眠りして、すっきりした頭で起きて再び、仕事に励めば、「朝が2度来たのと同じこと。脳にそう思わせればいいのだ」。
 
なんて、柔軟な考え方なのでしょう! たとえそれが実行できなくとも、なんだか楽しい気分になるではありませんか。
 
ほかにも、ノートや手帳の使い方や、「気心が知れていて、なるべく縁の薄いことをしている人が集まって現実離れした話をすると触媒作用による発見が期待できる。セレンディピティの着想も可能になる」という話など、何度も繰り返し読みたくなる内容が満載です。
 
1983年に発行され、文庫化されたのが1986年。すでに20年以上経っているというのに、これっぽっちの古さを感じさせず、心にすっと入ってくるなんて。堅苦しい本はごめんだと言わずに、学生さんはもちろん、どんな年齢の人にも手にとってもらいたいなあという1冊です。
 
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